第8章 違う人と任務
「触ろう」と試みた意識を跳ね返す、これも拒絶の術式の内ね。
「壁面に激突したのは、貴方が壁を狭めていたせいよ」
自業自得ってやつ?
なんだ…もっと腕の立つ人かと思ったのに、呪詛師としてもお粗末ね。
壁にめり込んで、ポイっと剥がすように崩れ落ちる様は…まぁ、悪くないわね。
それは愉快だわ。
「寧々ちゃん凄いね。今のであいつ、大鯰の髭を落としていったよ」
「あら?予想以上の効果ね」
とりあえず任務の目的である、呪物の回収は終了。
ただ…まだトドメを刺していない。
「……ん?」
この呪力は……。
「夏油くん、この人を尋問したいから拘束できる?」
受け身の取り方も知らない呪詛師は、壁に項垂れてもう虫の息。
「一応しておこうか。任せておくれ」
夏油くんの術式により、複数の顔がぼこぼこと連なった菌のような呪霊が
呪詛師に「チューしよーよ、ねぇチュー」なんて情熱的に絡みつく。
「貴方の目的を教えて。嘘をついたら…ころ「分かった!!話す!!!俺の話を聞いてくれ!!!」