第8章 違う人と任務
「寧々ちゃんに怪我をさせないように手加減はするけどね」
夏油くんは数多の呪霊を解き放ち、フロア全体を埋め尽くしていく。
「虱潰しは止めだ。呪霊が祓われたらそこにいるということだ」
おびただしい数の呪霊が右往左往と蠢く。
「最初からこうしておけば良かったかな」
「怖い人ね。呪力を無駄に使うことになるのに」
「大丈夫だよ。寧々ちゃんを守れるだけの呪力は残してある」
守られる気なんて、さらさらないけど。
夏油くんはにこやかに笑うその顔の下で、悪い顔を閉じ込めているみたい。
「ーーーー!!!!」
あら、運悪くそれなりの等級の呪霊に見つかってしまったのね。
呪詛師と思しき呻き声が響いた。
手負いの悪者のお出ましを待つ?
それとも…正義の味方自らが、制裁を加えに赴いてあげる?
「おいクソ呪術師、会いに来てやったぜ」
「ふーん?」
のこのこ現れたのは、ピンピンしたムカつくほど態度の大きい人間。
呻き声を上げたのは分身ってとこ?
本当悪趣味ね…だけど、分身術なんて五条くんと行った任務で、もっと凄いのを見てきたわよ。
あの時の呪霊の分身に比べたら、貴方なんて全然…
それよりも……
「私に触らないで」