第8章 違う人と任務
「閉じ込められているみたいだ。この術式の使い手がどこからか私達を監視しているのだろうね」
「こんなくだらないことをするのは呪詛師でしょうね」
呪詛師なんて呪力の使い方を間違えた野蛮な連中。
私達呪術師が人を助ける為に呪力を使うのに対して、呪詛師は人へ危害を加える為に悪用する。
生死を問わない危険思想な人ばかり。
……とは知識ではあるけれど、実際に対峙するのは初めてね。
「そうだね。呪物は私達呪術師を誘き寄せる為の餌で、何かしらしでかそうって魂胆かな」
「ねぇ、この会話聞いてるんでしょう?いい加減姿を見せたらいいんじゃないかしら?」
…なーんてね、そう簡単に姿を現すわけはないか。
向こうの目論見は呪物の回収に来た高専側の呪術師に、何らかの危害を加えること。
「この際だから、フロア全体に術式を放ってもいい気がしてきたわ」
相手側の術式で縮小されているのだし。
「それじゃ大鯰の髭の回収が出来ないよ、寧々ちゃん。ただ…少々手荒な真似をするのは賛成だ」