第8章 違う人と任務
その際に大ナマズから剥ぎ取ったヒゲが、時代を経て呪物に変化した。
保管場所は関東某県の地下鉄…の存在しないとされている地下秘密基地にある。
公には地下3階までしかない建物の更に下層の4階にあたる場所。
どうしてそこにあるのかなど何も分からない。
何も分からないのに、ある日ポツンと所在が知れたそれを回収に向かうのが今回の任務。
「お気をつけて」
エレベーターの表示にはない地下4階に降り立って、補助監督が帳を下ろした。
「さぁ行こうか、寧々ちゃん」
夏油くんはクスッと微笑み、余裕の表情を浮かべる。
それが自身の実力に基づくものなのか、ある程度の推測がついているのか、それすらも分からない。
呪物以上に難解で怪しげな笑みをこぼして、夏油くんは暗いフロアをずんずんと突き進む。
遅れを取らないように後ろに続いて、辺りを警戒しながら歩く。
暗くて少し先がやっと見える程度の視界なのに、とんでもなく広いことは感覚で伝わる。
同時に
「……?」