第8章 違う人と任務
程なくして、車は任務の現場まで走り出す。
「寧々ちゃんと任務に行くのは初めてだね」
「そうね、よろしくお願いするわ」
夏油くんも五条くんに負けず劣らず、実力のある人。
私が足を引っ張る…なんてことは御免よ。
「そういえばこの間、夏祭りから帰ってきた時のことなんだけど、ひと足先に寮に戻った私のところに後から悟が来てね。もう参ったよ。午前2時を過ぎてるんだから」
いくら親友同士とはいえ、そんな時間に部屋を訪れるなんて…と思ったけれど、よくよく考えたら金魚の水槽の用意を手伝ってくれた後だものね。
…いえ、それにしたって深夜に押しかけていい理由にはならないけれど。
「扉をガンガン叩かれて、起きて出てみれば悪い顔をした悟がいてね。強引に部屋に押し入ってきて、襲われてしまったよ」
「おそ…っ?」
私に出来なかったことを、夏油くんに……?
五条くんなら八つ当たりとして、あり得そうでは…ある…けど…。
男同士…よね?
「どこの暴漢かと思ったよ。いきなり頭を掴まれてね。悟の目は少し血走っていたかな」
「えっ…」
「そして私の髪を…」