第2章 馬鹿と告白と初デート
「…あの、その…」
言葉に詰まる私をよそに五条くんはゆっくりと距離を詰めた。
人間1人…の半分くらいの距離。
「寧々」
「ーーっ」
「大丈夫、言いたいことは分かってるって」
自分でも理解できていないことを、五条くんが…?
「寧々、私の部屋に来てって言いたいんだろ?」
「はぁ?」
「だけど…ごめんな、まだ付き合って一日目だし、そういうのはもうちょっと経ってからって考えてた。俺もまだいたいけな10代だし、そういうのは手順も踏んでから…な?」
「馬鹿じゃなくて大馬鹿ね」
困り眉で身をくねらせながら、乙女の様に恥じらう大男に呆れるしかない。
「ーー帰るっ」
顔色を見られないように、五条くんの方なんか振り向いてやらない。
足早に逃げるように部屋に帰った。
自室に帰り着いて、扉をドンッと閉めてようやく胸を撫で下ろす。
「なんで楽しいって思っちゃったんだろ…」
水族館というイベントはとにかく、ただ会話をしながら道を歩くだけなのに。
それなのに、なんで「楽しい」思い出になるんだろう…っ。