第2章 馬鹿と告白と初デート
「変なの」
五条くんの言っている意味はいまいち分からない。
例え好きな人でも我儘言いたい放題だったら、愛想を尽かしそうなものなのに。
「…でさ、実際どう?寧々は今日一日で俺のこと好きになった?」
「…なってない」
好きになんかなってない…けど、ただの馬鹿じゃないってことは分かった。
「一日じゃ変わんねーか。ま、俺は寧々のことますます好きになったけどな」
「それはどうも」
こんなに虚しい一方通行の思いでも、どストレートにぶつけられるのはいっそ清々しい。
「んじゃ、また明日な」
「…うん、」
あれ…バス停を降りてから高専に着くまでの道って、こんなに短かったっけ?
もっと距離があったと思うんだけど。
暗いから距離感が掴みにくかったのかな。
学生寮に着くのも…なんだかちょっと早過ぎる。
「五条くん」
私の呼びかけに五条くんは体ごと振り返った。
「なに?」
「……っ」
なんで男子寮の自分の部屋に帰ろうとした五条くんに声をかけてしまったのか。
自分のしたことなのに訳が分からない。