第2章 馬鹿と告白と初デート
「変な人ね、ふふっ、笑っちゃう…!」
「……!笑った!?寧々、今笑ったよね!?」
「え…?あっ…本当だ…」
「ようやく俺の魅力に気付いたってわけか!」
「魅力…」
かっこいいとはいまだに思わないけど、一緒に水族館に来たことはきっと、
「楽しい」思い出になる。
「…あっ!お土産買ってねぇじゃん!」
「もう閉まっちゃったわよ」
帰りのバスを待ちながら、ごっこ遊びによく似た青春もどきも悪くないと思った。
「ねぇ、帰りのバス代は私が払いたいのだけど」
「その謙虚さ、ますます好きになるじゃん。どーしてくれんの?」
「別にどうもしない。何もお返ししないのは嫌だから」
「律儀だな…んじゃ、まぁ、体でお返し…ってことでどう?」
「やっぱり五条くんは馬鹿ね」
定刻より少し遅れてきたバスにさっさと乗り込む。
行きのバスよりも乗客が多くて、空いている席が限られていた。
とりあえず座りたかったから、何も考えず空いている2人がけの席に座った。
「な…、五条くん…っ」
そして私の隣に五条くんはストンと腰を下ろした。