第2章 馬鹿と告白と初デート
「アシカとオットセイってよく見ると違うんだな」
「トドとセイウチも結構違うのね」
閉館まで1時間しかないのに、多種多様な生き物を見ていたら本当にあっという間だった。
「派手なショーはやってないけど、人の波もなく自分のペースで見られるのがいいよな。俺と寧々の初デートにぴったり」
「どこら辺がそう思ったの?」
「だって誰も周りを気にせず、自分の好きなように見て周ってただろ?生き物だって伸び伸びとしてた。だから俺達も俺達らしく付き合っていけばいいんだよ」
きっとそれは、お互いの提示した条件という縛りがあるからこその言葉。
「俺は今日、寧々と来れて嬉しかったよ。綺麗な生き物を可愛い彼女と見る、最高の時間だった。ありがとな」
「生き物は…綺麗だった…」
サングラスの奥ではきっと、クシャッと目を細めているのだろう。
キュッと持ち上がった口角がニッと笑っていた。
「そうじゃないだろ?かっこいい彼氏と一緒に来られて嬉しかった…だろ?」
「自分で言うの?」
なにそれ、五条くんって本当…