第7章 夏休みといえば
「どう見ても五条くんが食べたいだけでしょ」
「細かいこと気にすんなって!冷める前に食おうぜ」
五条くんはそう言って私に焼きそばを手渡すと、こっちがびっくりするくらいのスピードで食べ始めた。
「胃の中どうなってるのよ…ブラックホール?」
「腹減ってんだよ。仕方ねぇじゃん、べんきょーの後だしな」
どっさりと買い込んできた食べ物はブラックホールにあれよあれよと吸い込まれていく。
「よく食べるわね。私は焼きそばだけでお腹いっぱいなのに」
もちもちの麺に香ばしく焦げたソースが絡んで、濃いめの味付けにシャキッとしたキャベツがアクセントになっている。
美味しい…美味しいのだけれど、かなり重たい口当たりですぐに満腹になってしまう。
せっかくのお祭りなのだから、もっと色々食べたかったんだけどな。
「貸せよ」
「えっ」
五条くんは私の手からパックを奪い取ると、残っていた焼きそばをずずずと流し込んだ。
「他のも食べなきゃ祭りに来た意味ないだろ?イカ焼き食うか?焼きとうもろこしもある」
「や、焼きとうもろこしを…」
できるだけアッサリして口直しになるものがいいから。