第7章 夏休みといえば
結局手は繋いだまま、多くの人々で賑わうお祭り会場に着いた。
「もう転ばないから離してくれていいのよ」
「迷子にならない?心配なんだけど」
「私は五条くんと同い年よ。迷子になんてならないわ」
「俺は傑に中身小学生って言われるけど、寧々も?」
五条くんは手を離すつもりは毛頭ないみたい。
それが何だか嬉しいのとお祭りの雰囲気にあてられて、心が浮つく。
綿菓子を持った子供が楽しげに通り過ぎていったり、焼きそばを半分こするカップルがいたり…って、食べ物のシェアをする気はないけどね。
今日は五条くんに気を使うことなく、好きなものを好きなだけ買ってもらうんだから!
だってその方が楽しいでしょう?
「寧々、何する?何食べる!?」
お祭りのノリに引っ張られているのは、何も私だけではないみたい。
五条くんは子供みたいに目を輝かせて、立ち並ぶ出店を一つ一つチェックしていた。
「そうね…」
日が落ちたとはいえ、夏の暑さとお祭りの熱気で蒸し暑い。
おまけにぶっ続けで勉強をしていたせいで、ろくに昼食も取れていなかった。