第7章 夏休みといえば
身丈はおはしょりで調整する必要もなく、裄丈は寸分違わずフィットする。
着付けに必要な小物類も私にピッタリと合ったものばかり。
浴衣と同じ青い下駄すらも、足のサイズなんて知らないはずなのにジャストサイズだった。
最後に用意された白い巾着を持って、扉の外の五条くんに声を掛ける。
「準備できたわよ」
「あ、開けるぞ…!」
さっきとは打って変わって、緊張した面持ちの五条くんがゆっくりと扉を開けた。
「ーーっ、やばい…っ、想像よりも可愛い…っ」
人の顔を見て目を背けるなんて、私みたいなことをするのね。
「寧々、凄く似合ってる…っ、正直襲いたい」
「今すぐ脱いでくるわ」
「ちょ、冗談だって!合意なしには手を出さねぇよ。ただ…その…可愛すぎて…っ」
りんご飴みたいに顔を赤く染めた五条くんは、私に向き直るのにいささか時間がかかった。
「わ、悪いな…っ、脳内で脱がせたから、もう大丈夫なはず…!」
「こっちは大丈夫じゃないんだけど」
私、本当にこれからこのド変態と花火大会に行くの…?