第7章 夏休みといえば
「あぁ、そういうこと…」
五条くんの不要な根回しがあったってことね。
そんなことをしなくても、私は…五条くんと行けたらいいなって思っていたのだけど。
「楽しい思い出」の1つになるかな、なんて浮かれていたのに、前日になってもお誘いがないんだもの。
自分から誘うのは…ちょっとプライドが許さなかっただけ。
私のみみっちいプライドが、ね。
「てなわけで俺と浴衣で夏祭りデートしよう!」
「分かったわ。それじゃあ、変態さん。浴衣を着付けるから1回出て行ってくれる?」
「はい出た!そして戻った!」
「五条くん?」
ドアを出たり入ったりする変態に「やっぱり行かない」と脅してみたら、渋々扉の前の廊下で待機していた。
それにしても…この浴衣、五条くんの瞳のような色をしているのはもちろん、帯は五条くんの髪の毛みたいな色をしている。
飾り帯は五条くんがいつもしているサングラスみたいな色で…。
なんというか、全身を五条くんに包まれているみたい。
不思議なことはまだ続いて、その浴衣はまるでオーダーメイドをしたかのように私にピッタリのサイズだった。