第7章 夏休みといえば
ドアを3回ノックする音。
コンコンコン…と鳴った後、無施錠のドアノブをガチャガチャと捻る音が続く。
「寧々、入ってもいい?」
私が拒否をする前に扉は無情にも開いた。
こちらの都合などお構いなしに部屋に押しかけたのは
「寧々〜っっえっ!?」
「か、勝手に開けないでよ、五条くんっ!着替え中なんだからっ…!」
なぜか藍色の浴衣に黒い帯、細くて青い飾り帯を身につけた五条くん。
その手には青い布を持っている。
「は、早く閉めて!変態っ!!」
デニムを履こうとしていた下着だけの下半身を、すでに着ていたリブニットを力いっぱい下に伸ばして隠す。
「わ、わ、悪ぃ!そんなつもりは少ししかなかった!!!」
「確信犯なの!?気持ち悪い!五条くんなんか嫌いよ!!」
完全にあの時の格好に着替え終わった後、不本意ながら扉越しの五条くんに声をかけた。
「謝罪なら聞くわよ」
「悪かったって!もしかしたらお着替えシーンが見れるかも♡とは思ってたけど、わざとじゃねーんだ!」
「…変態の立ち入りを禁ずるわ」