第2章 馬鹿と告白と初デート
「ん、どーいたしまして」
着いた先はそれなりに大きな水族館。
小さい頃に兄だけ連れて行ってもらっていた所だった。
「ねぇ、もう19時になるけど本当に開いてるの?」
「最終入館ギリギリセーフってとこだな。行くぞ」
帰っていく人達が多い中で、流れに逆らうようにチケット売り場に歩き出す。
「大人2人でお願いします」
当然のように五条くんが支払いを済ませてしまう。
「自分の分は払うよ」
「その気持ちだけで十分」
五条くんは私をまるで駄々っ子のように嗜めた。
「寧々、今だけ夜の水族館っていうイベントやってんだよ。夜の…ってちょっと大人っぽい感じしねぇ?」
「…その発言は子供しかしないけどね」
スマートな彼はどこへやら。
……でも不思議、家族に連れてきてもらうこともなく、自分には縁遠い場所だと思ってたのに。
まさかついさっきできたばかりの、急拵えの恋人と一緒に来ることになるとは。
館内にはしっとりと落ち着いたBGMが流れており、深い青に染まった水槽の中を生き物達が泳いでいた。
小さなクラゲがぷかぷかと楽しげに浮かぶ水槽に鮮やかな模様の熱帯魚が群生する水槽…
ゆったり伸び伸びと泳ぐ海亀に、ひょっこり顔を出したウツボ。
「あのペンギン、寧々に似てる!」
「さっき見たラッコは五条くんに似てたよ」