第7章 夏休みといえば
「あれれ〜?寧々のペンの方がインク薄いんじゃねぇ??」
「中のインクが古いんじゃない?」
苦しい言い訳なんて簡単に見破られる。
「残念だったな、寧々。このボールペンは今年の春に出た新商品なんだよ」
「……初期不良でしょ」
「インク止めが付いてないのに?」
もう私が何と言い繕おうとも、五条くんにはお見通しだった。
「プレゼントしたものを使ってくれることに感謝はあっても、文句はねーよ。実際、俺もシャーペン使ってるし」
五条くんは私がしたのと同じように、シャーペンをカチカチと押し出してノック音を鳴らした。
「今は2人きりなんだから、こっちのシャーペン使ってもいいよな?」
「か、勝手にすれば」
「んじゃ、秘密のお揃い解禁ってことで。続きすっかー!」
五条くんは再び問題集に向き合うと、時折私にヒントを求めながら黙々と進めていく。
そうこうしているうちに窓から夕陽が差した。
「一区切り…だな。んー、よく頑張った俺…!」
「お疲れ様。教えながら自分の曖昧なところにも気付けてよかったわ」