第7章 夏休みといえば
「ありがとう」
「どういたしまして。俺も寧々とお揃いにしよー♪」
冷えた缶ジュースをプシュッと開けて、ぐぐっと飲み干して…五条くんは気合いを注入するみたいに、ぐいっと仰いだ。
「っし!もうひと頑張りするか!」
「やる気十分ね、偉いじゃない」
私の飲み切れなかった分は、部屋に持ち帰ることにした。
部屋に戻った五条くんは、あっという間に私が作った問題集を解き終わった。
全問正解のパーフェクトで。
「本気を出せばこの通りよ!」
「最初から本気を出せば良かったんじゃない」
なんだかんだ飲み込みが早いし、教えた甲斐がある。
どうして夏油くんには愛想を尽かされてしまったのかしら?
本気を出したらしい五条くんは、さっそく英語の問題集にも取り掛かる。
「なぁなぁ、寧々」
「なに?」
問1から始めて記述問題に来たところで、五条くんの手はぴたっと止まった。
「英語よりも保健体育しようぜ!実技の方!」
「バレー?バスケ?陸上?1人でどうぞ」
「保健の方だよ、言わせんな」
「止血でもするの?出血したいなら、手伝うわよ」
五条くんが言わんとすることは何となく分かるけど、スルーしておくのが正解ね。
シャーペンの芯をカチカチと押し出して尖らせながら、警告音を鳴らす。