第7章 夏休みといえば
「凄い…、合ってる」
さっきまで基礎も怪しかったのに。
「寧々の教え方がいいんだな。俺1人じゃ絶対に分からない問題だし」
「五条くんの覚えがいいのよ。やれば出来るのね」
やれば、ね。
日頃から真面目に授業を受ければ、こんなの苦でもないでしょうに。
「よーし!数学終わり!少し休憩だな」
「お疲れ様。休憩が終わったら、このテスト解いてみて」
「んだよ、これ…」
「五条くんの苦手なところだけを集めた問題集。繰り返し解けばきっと身につくから」
切り取ったノートに書いた、テスト対策も兼ねた五条くん専用の問題集。
「寧々が俺の為に…っ」
「赤点取ったら可哀想だから」
五条くんが課題を頑張れば、頑張るほど「楽しい思い出」が沢山作れると思った。
まだ動物園には連れて行ってもらっていないし、水族館に行く「次」の約束もある。
こんなとこで躓かれてちゃ、困るのよ…っ。
「何か飲み物でも買ってくるけど、五条くんは何が良い?」
「ん、俺も一緒に行く」
五条くんは当然のように自販機にお金を注ぎ込んで、私に好きなものを選ばせてくれた。