第7章 夏休みといえば
よく遊びよく学べというけれど、五条くんは遊ぶことしか頭にないみたいね。
「ダメよ。五条くんの課題が終わったら遊んであげる」
「課題…勉強かよ…くっ…!」
私の言葉に五条くんは頭を悩ませて、何かと葛藤しているようだった。
「ちょっと待ってろ!」
そう言い残して足早に去ると、大量のテキストを抱えて戻ってきた。
「寧々に教えてもらえるなら、頑張れる気がする!」
「なんで私が…」
「分かってねぇなー?人に教えてこそ理解が深まるってもんだろ」
確かに勉強を教えるというのは、自分自身にも理解が深まったり、あやふやな部分に気付けるなどのメリットはある。
だけど教えてもらう側が、こんなにも太々しいことがある?
「夏油くんにでも教えてもらったら?」
「傑には俺に教えると疲れるからやだって断られた。だから…頼む!寧々!寧々先生!」
夏油くんが匙を投げるほどの、五条くんの理解力って……。
私にその役目が務まるのかしら?
…でも、五条くんの課題が終わったら、また「楽しい思い出」が作れるかもしれない……。