第2章 馬鹿と告白と初デート
「自惚れるほどの魅力なんてあるの?」
「まだ気づいてないのか、寧々は」
あるには…あるんでしょうね。
私には一生分からないけど。
硝子が言うには五条くんはイケメンの部類で、黙ってれば最高峰だとか。
背は五条くんのように高い方が良いと思うけれど、態度が図々しければ意味はない。
図体と態度と有り余るほどに大きいのね。
「てなわけで…とうちゃーく!」
「バス停だけど?」
「ここからバスに乗って、水族館に行こう!」
「今からくるバスの時刻が18時なのに、水族館なんて開いてないでしょ」
「それは着いてからのお楽しみってことで」
五条くんは定刻通りに来たバスに乗り込んだ。
浮かれた人間を放置するのも後味が悪いから、仕方なく着いていくことにする。
本当に、仕方なく…だ。
「この次に降りるから」
「そう」
道なりに進むバスの中、一人掛けの席に前後に座る。
「もっと楽しいって顔しろよー」
「別に楽しくないから」
後ろからぶーぶー文句を言う五条くんを尻目にバスは目的地へと向かう。
「寧々、降りるよ」
五条くんはさらっと2人分の料金を払って先に降りた。
「お金」
「いいの、いいの。好きな子には奢りたいの」
「…そう…あ、ありがと…う」