第6章 クッキーとゼリー
「寧々に手出さないか心配で」
「ーーっ、紳士なんじゃなかったのっ?」
「それは昨日の話だろ。日付超えた今日は無効なんだよ」
本当に狡くて、小賢しくて、狡賢い人。
「まっ、寧々のことは大切にしたいし嫌われたくねぇから、今日は寝るわ」
カッコいいことを言ったような顔をして、五条くんはニッと笑った。
「おやすみ、寧々。朝だけどな」
「……おやすみ」
五条くんはゆっくりと瞼を閉じた。
窓の外からは明るい日差しが差し込み始めている。
昼夜逆転した1日は今からが始まりなのかもしれない。
「……」
五条くんって、まつ毛が長いのね。
鼻筋もスッと通っているし、肌も透明感があって綺麗。
見てくれは…悪くないんじゃないかしら。
黙っていれば、モデルのようだし女の子に人気があるのも頷ける。
黙っていれば、ね。
「寧々」
「な、なに」
瞼を閉じてはいたけど、まだ眠ってはいなかったのね。
「俺、すっげぇ幸せ。幸せ過ぎて寝過ごしそう…ちゃんと起こせよ?」
「わ、分かってるわよ…!」