第6章 クッキーとゼリー
「困ったなぁ?スプーンは2つしか貰ってないのに…」
「じ、自分で捨てたんじゃない!」
流石に他の不要物も混じったゴミ箱から、拾って使えとは言えなかった。
「寧々、あーんは?」
五条くんの分かりやすくも小賢しい策略に、私はどうしたものかと頭を悩ませる。
「食堂からスプーンを借りてきたらいいのではないかしら」
「今いっても誰もいないだろ。つか、開いてねーぞ」
「もう一度コンビニに「寧々」
「剥がした蓋をスプーン代わ「寧々っ」
「俺にも食べさせてよ」
太々しい猫だと思っていたのに、急に子猫のように甘えた瞳で見つめるから。
真っ白な体にサファイアのようなキラキラした瞳…の子猫にしてはやけに巨大なお猫様に
「一口だけよ…っ」
根負けしてしまったのは、どうしてかしらね…?
「ありがと、寧々!」
大きな瞳をきゅっと細めて笑うその仕草に、心が揺さぶられる。
私が差し向けたスプーンを、五条くんは大きな口で頬張った。
「ん、すっごく甘くなった。寧々が食べさせてくれたからだな」