第6章 クッキーとゼリー
「寧々安心しろ、俺はずっと寧々の隣にいるし味方だ」
五条くんの声…私の名前を呼ぶ声…なんて…温かいのだろう。
声色にほっとするような温もりが込められている。
落ち着いた声に、ほんの少しずつ心がほぐれていく。
緊張して張り詰めていた体から鉛が一つ、また一つと外れていく。
「ん、起き上がれそうか?」
なんで五条くんを見るとこんなにも…心が……。
「自分で起き上がれるわ」
強がった私の素直じゃない言葉なんてお見通しなのね。
「ほらよ」
五条くんは優しく手を差し伸べた。
「つ、次はないからっ」
「はいはい、こんな時くらい素直になりましょーねー」
「だから子供扱いしないでって!」
赤ちゃんに接するくらいに優しく、ゆっくりと引き上げた。
完全に鉛が落としきれていない体に、五条くんが買ってきてくれた水が染み渡る。
喉が潤うのと同時に心がゆらりと揺れた。
水を飲む私のことを、蒼い瞳がゆらめく五条くんはじっと見つめていた。
「ありがとう、倒れた私を介抱してくれて」
「介抱じゃねぇよ。隣にいただけだ」
五条くんだって素直じゃないのね。
テーブルの上には沢山の飲み物とお菓子、ゼリーに熱さまシートなど看病に必要そうなものが一式揃っていた。