第6章 クッキーとゼリー
全部、全部逃げ出せない私が悪い。
お兄様が私をそう簡単に許すはずがなかったのに。
「寧々!あいつはもう帰った。大丈夫だ、大丈夫…だから…っ!!」
お兄様の方に歩き出そうとしていた体は、最後に捻り出した声なき叫びと共にベッドに倒れた。
声が出なくなったのと同時に、酸素の蓄えが切れたように意識が遠くなっていく。
それでも…目を閉じてもまだ、暗闇の奥底に薄ら笑いをしたお兄様がいる。
「寧々のせいだ」お兄様の口元が歪んだ後、私の記憶は途切れた。
「寧々」
私の名前を呼んだのは……