第6章 クッキーとゼリー
「んじゃ、用も済んだってことで。今度こそお帰りくださーい」
五条くんは自分の意思で、お兄様を外へとぐいぐいと押し出した。
「ひどいなぁ。まるで僕が邪魔者みたいじゃないか」
「マジで邪魔なんだけど?」
「キミがいる限り、兄妹水入らずで話せないじゃないか。次ここに来れるのはしばらく先なのに」
「ずっと来なくていいんで。早く帰れよ」
「ああ、そう?でもちょっと待ってよ。可愛い妹にもう一つ置き土産があるんだ」
「は?「寧々、忘れさせてはあげないよ」
お兄様の目を見てなんかいないのに、視界に映ってなんかいないのに
脳内でお兄様の歪んだ笑顔が、ぐちゃぐちゃにうごめいている。
「いやぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
お兄様が、体の中に、頭の中に入ってくる。
最低、最低、最低。
「寧々っ!?」
「やめて…っ!私がっ…ぁ、や…めて…っ!」
例え防ぐ手段を知っていたとしても、拒絶することのできない術式。
お兄様が私を虐げる時によく使っていた
相手の脳内をいじくり回し、服従するように仕向ける…呪力による破壊。