第6章 クッキーとゼリー
「寧々の過去に何があったか気にならないわけではねぇよ。好きな人のことなら何だって知りたいし。でも、無理矢理聞くのは違うと思うからな」
「五条く…五条くん?」
「ん?どうした?」
五条くんは神妙な面持ちをしていたのから打って変わって、私のベッドの上に大の字に寝転んだ。
「どうして私のベッドに横になっているの?」
「今夜は一晩中、寧々の側にいてやるぜっていう意思表示だよ。いつでも話を聞くからな。話したくなったら話せよ」
「…今すぐ帰って欲しいのだけど」
外から帰った服で人様のベッドに寝るなんて、図々しいにも程があるじゃない。
「素直になったんじゃなかったのか?あ、お菓子ある?食べたい」
「……これでも食べてたらっ!」
あまりにも太々しい来客にバタークッキーの箱を投げ付けつつ、ベッドから起きるように促す。
「起き上がって食べてよね」
私の言葉にクッキーの箱を顔面スレスレで受け止めた五条くんは、むくりと起き上がった。
「ベッドからは退かねーよ。それとも一緒に寝るか?」
「バッカじゃないの?」