第6章 クッキーとゼリー
五条くんとは反対側に腰を下ろして、ゆっくりと彼を見た。
「兄のことは…いつかは話さなきゃいけないとは思ってた。ただ…」
水無月家への復讐の為に、五条くんを利用しようとしています…とまでは言いづらかった。
最初は五条家の後ろ盾が欲しくて、打算的な企みの上での関係だった。
ただ…五条くんの気持ちを…あまりにも真っ直ぐな気持ちを受けた今は…それだけじゃない。
私が…私が、五条くんの隣にいたいと願ってしまう。
「私、五条くんのことを好きにならないと言ったでしょう…あれは…」
「あん?そんなこと言われてねーな?」
「いえ確かに「取り消していいぜ。謝罪もいらない。俺のことが好きなんだろ?」
「まだ確定したわけではないわ。これから好きになる可能性がゼロではないという話よ」
「そうかよ。俺は寧々のこと一生好きだけどな」
私の…兄に犯され続けた過去を知っても、そう言ってくれるの?
無理よね、だからこそ怖い。
打ち明けたいと思う気持ちと拒絶されるのが怖い気持ちがせめぎ合う。