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A3! 総監督の友達兼右腕

第1章 春組『出会い』


私も続いて出ていこうとドアを開けた瞬間、誰かに手をひかれる。
振り返るとシトロンさんがいた。


「雨国〜。今日はありがとうダヨ!これ見て日本語の練習するネ!」


シトロンさんは少し古びた台本を見せて笑う。
私が常に入れていた何となくの癖で持ってきていた台本を彼に預けたのだ。
これはほんとに短編が集まっているものだし簡単な日本語も多いから彼に向いているはず。


「はい。頑張ってください!」


「モチのロンだよ〜!」


シトロンさんはニッコリ微笑んだ。
するといづみが走ってくる。


「雨国〜。来てくれてありがとう!劇団員にも刺激になったんじゃないかな」


「良い刺激だと良いんだけど…」


少し苦笑いをする私に、もちろんだよ!と返ってくる。
もう夜更けだしそろそろ帰ろう。
そう思ってドアを開ける。


「学生組はもう寝ちゃってるんだけど、皆ありがとうって言ってたから!良かったらまた来て?」


いづみとシトロンさんが手を振るのを後目にMANKAIカンパニーを出た。


既に寮の前に車を停めて待っていた至さんに謝る。
至さんはスマホをしまってニコッと笑った。


「全然大丈夫だよ。さ、乗って」


助手席のドアを開けてくれる。
凄い紳士的な人なんだな。



運転してる姿もかっこいいものだ。
いづみも良い人見つけたな…。

ボーッと横顔を見てると、ん?とこっちを見られて目がバッチリあってしまった。


「あ、ごめんなさい。かっこいいと思ったらなんか見入っちゃって…。見られるの嫌ですか?」


すぐに謝ると至さんは少し顔を赤く染めた。
口元を片手で覆いながら返事をする。


「…いや別に」




「ここら辺で大丈夫です。ありがとう」


家の近くまで着いたので車を停めてもらう。
そしてドアを開けて出た。


「暗いから気をつけてね。それじゃあ」


私が降りたのを見て微笑んで手を振っていた。
そして車が動き出したのを見て私も手を振る。


家に着いて楽しかったなぁと2日間を振り返る。
皆がこのまま頑張れば凄い良いのができるだろう。

…チケットが売れるか分からないって言ってたのは心配だけどね。

また行けると良いな。

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