第6章 夏組 『始動!』
「…連れてきました!」
凛々しい顔してどこかに行った支配人は真澄くんを連れてきて戻ってくる。
「……何」
真澄くんは訳も分からず連れてこられたのか不機嫌そうに支配人を見つめる。
その様子にいづみが経緯を説明した。すると真澄くんはいづみを後ろに下げて203号室のドアの前に立つ。
「アンタは下がってて。……雨国はこいつらの周りいて。…おい、何かあったらお前ら死んでも守れ」
真澄くんは夏組の皆に私を託して部屋の扉をゆっくり開いた。
真澄くんが中に入るのに続いて私達もゆっくり入っていく。部屋の中は物が沢山置いてあって。
結構色鮮やかだな…とか思ってたら椋くんが私の手をぎゅっと握ってくる。
「お、おにぎりお化け…!!」
何その愉快なお化け…と思いながら椋くんの方を見ると椋くんの目線の先には見たことがない男の人が。
皆は彼に恐る恐る近づいていく。一成くんが名前を聞くと男の人はニカッと笑った。
「俺?斑鳩三角〜!」
不審者とは思えないほどの屈託のない笑みの三角さんと皆は少し話している。
何故かさんかくをくれようとする三角さんと通報しようと話す真澄くんと支配人。
「捕まえる?」
真澄くんが後ろにいたいづみに聞いた瞬間、三角さんの表情少し険しくなった。
「ダメ!このさんかくは俺の!」
そう言うと三角さんは部屋から出ていってしまった。皆が追いかけていく中、私はバルコニーから皆が走って追いかけるのを見ている。
すると三角さんが軽々と壁を走って皆から逃げているのが見えた。
……きっと私は仕事終わりで疲れてる。
そう思いながら私は皆の元へと歩いていった。
談話室に入ると皆ひと段落終えてるのか少し苦笑しながらいづみを見ていた。
「…どうしたの?」
「あ、雨国ちゃん!監督ちゃんがすみーを夏組に入れるんだって」
一成くんは笑いながら説明してくれる。すみー…は、多分三角さんのことだろう。
何にせよ5人集まったんだ。
「これから夏組もスタートするんだね」
私は少し微笑んでいづみたちを見る。
今も天馬くんと幸くんが言い合いしてるけど、何となく上手くいきそうな気がした。