第5章 番外編 〘ハロウィン2023〙
稽古場に向かうと何やら騒がしい声がする
ドアを開けて覗き込むと
「あ、来たー!もしかして雨国ちゃんも仮装してる系?」
とカズくんがスマホ片手に走ってくる
すると後ろから真澄くんと天馬くんと左京さんも顔をのぞかせた
「黒猫…?……可愛い。」
ふわっと笑う真澄くんはドラキュラの仮装をしているらしくいつにも増してかっこいい
少し照れてしまって俯きながらお礼を言う
「へへ…、ありがと。」
「……っ!可愛い。もっと顔みたい。」
ずいっと寄ってくる真澄くんを左京さんが後ろから引っ張った
「コイツが困るだろ。……ったく。お前もお前でそんな格好してんじゃねえ。」
眉間に皺を寄せながら私の衣装を指さす
私はムッとして頬を膨らませた
「似合ってないのは分かってるしー。」
ふいっと横をむくとカズくんと目が合う
するとカズくんは素早く決めポーズをしてきた
思わず笑ってしまっているとカズくんの衣装は軍服であることに気づいた
「てか、カズくんかっこいいね。」
「ええ、今?てゆーか、雨国ちゃんも超可愛いよん!」
キラキラ笑顔でこういうこと言ってくるから凄い
衣装を眺めていると視線を感じて後ろを見た
俺には何か無いのかと言わんばかりの天馬くんと目が合う
「…天馬くんは警察なんだね。素敵だよ!似合ってる。」
そう言うとパッと目を輝かせる
そして直ぐに目線を逸らして言った
「…俺様に似合わない衣装はないからな。」
「ほんとだよね。スタイルも良いし。」
本音を言っただけだけど思ったより照れてしまっている天馬くん
すると真澄くんが呟く
「俺は褒めてもらってない…。」
「真澄くんもかっこいいよ!立ち姿も綺麗なドラキュラさんだね。」
悲しそうな目はすぐにキラキラと輝いた
後ろから左京さんがため息を着く
「お前はガキか…。」
「…左京さんも海賊姿かっこよくてセクシーです。」
そう言うと左京さんはブッと吹き出して手で顔を隠してしまった
「照れてんじゃん。」
「ねえ、皆で写真撮ろ!」
冷たい目の真澄くんをなだめるカズくんが提案した
撮った写真を見てカズくんが言う
「インステ!…には上げられないからこれは俺達の中だけの写真ね!」
頷く皆にカップケーキを渡してお別れした