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A3! 総監督の友達兼右腕

第4章 春組『初めての舞台』


ひとしきり喜んだ後私は首を傾げる。


「…そう言えば明日も公演あるよね。ご飯食べて寝た方が良いんじゃないかな?」


そう言うと皆は時計を確認して慌ててご飯を食べに行く。私はゆっくりと歩きながら皆を追った。




夜、喉が渇いて談話室に向かった。
まだ電気が付いていて人影が見える。
ドアを開けると慌てて何かを隠す至さんが居た。


「…至さん?」


「ん?…目が冴えちゃってさ」


ニコッと微笑む彼に私も微笑んで横に座る。


「お話しましょうか」


私が何かを察しているのが分かって少し諦めたような顔の至さん。
私は顔を見ながら聞いた。


「…足、怪我しましたか?」


「え…、いや?」


あからさまに慌てる彼。
私は至さんの怪我をしているであろう足を患部に触れないように少し触る。


「こっち、ですよね?」


「……はあ、ちょっと捻っただけだよ。大丈夫だから心配しないで」


観念したのか小さく呟いた。
私はソファを立って至さんの足元に膝まづいた。
そして怪我した方の足を慎重にお持ちあげる。


「え、何?」


「この湿布の張り方じゃダメです。至さんが明日も公演に出たいのなら足をちゃんと見せてください」


驚く至さんの顔を見つめながら言うと頷いた。
私はそれを見て至さんが貼った湿布を剥がしてもう一度貼り直す。

寝ている間に剥がれたら元も子もない。
こういう時は捻った部分に合わせて湿布に切れ目を入れることで剥がれにくくなる。

切り終えてできるだけ痛くないように、でもしっかりとつくように貼っていく。

至さんは少し顔を歪めた。


「至さん。明日大丈夫ですか…?」


「…うん。大丈夫だから、絶対アイツらに言わないで。変に心配されるからね」


そう言って立ち上がる。
医療箱をしまいに行こうとする彼を止める。


「私がします。あんまり片足をかばいすぎないでくださいね。逆も痛めますから」


そう言うと彼は頷いて談話室から出ていった。


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