第3章 春組『心機一転』
頭がズキズキして目が覚める。
…多分昨日スマホいじってたからだ。自業自得なのは分かってるんだけど少しくらいぐっすり寝たい。
スマホを見て時間を確認すると知らない番号から何件もの着信が来ていることに気づいた。
働かない頭で考えているとまた電話が。
私は急いで電話に出た。
『もしもし?』
『お、やっと出やがったか。お前今からMANKAIカンパニーに来い』
多分雄三さんだ。
…何故今から行かねばならんのだ。
『何の用事ですか、ほんと。私疲れすぎてほとんど寝れてないんです』
溜息をつきながら言うと雄三さんは間を開けてから笑って言った。
『お前、立花の娘から聞いたが殺陣が他の奴らより得意だったらしいな。アイツらの力になりてえならさっさと来い』
そして唐突に切られる。
……?ロミジュリに殺陣はなかったはず。
ボーッとする頭でまた考える。
「アイツらの力になりてえなら……」
「おー、来たか。鼻たれ小僧2」
必要最低限の身なりで来た私がレッスン室に入ると雄三さんが笑ってこっちを見た。皆は私を見てまたまた驚いていた。
「どうしたんすか?雨国さん。凄い形相になってるっすよ」
綴くんが心配してこっちへ歩いてくる。
私はニッコリ笑った。
「いや、全然?殺陣やれって言われたから着の身着のまま来ただけだよ?」
「え、良いんですか?」
咲也くんが目を輝かせながら私の手を握る。…良いんですかって、殺陣やるの?
ポカンとしていると雄三さんは私の肩を叩く。
「休んでる暇はねえぞ。…お前も、俺が居ねえ時にコイツらに教えられるように仕込むからな」
雄三さんは真澄くんから奪った竹刀を私に渡す。
それを受け取って雄三さんが間をとったと思えば急に打ち込みにきた。
久しぶりにやるから全然感覚覚えてないって…!
私は咄嗟に腰を落として雄三さんの竹刀を方向を変えるように叩いた。
そして竹刀を握ったままの雄三さんに切り込む。
隙あり…!
しかしいつの間にか首には竹刀が当てられていて私の手元からは竹刀が消えていた。
「…雄三さん。皆はこんなのしないはずでしょ」
綴くんは苦笑いをしながら言う。
雄三さんはフッと鼻で笑った。
「まだまだだな。こんなもんなのか?太刀筋が見え見えなんだよ」