第3章 黒の教団
「落ち着け」
混乱しているの頭をガシガシと乱暴に撫でる神田。
「髪乱れるー!せめて一定方向にして」ムスッとするが神田の手から逃げ出そうとしないはどこか嬉しそうだとアレンは思った。
「気になるなら結い直してやる」
「編み込みがいい」
「無理言うな。一つ結びで我慢しろ」
「せめて二つ!」
神田に向けてVサインを向けるは深く考える事を放棄したのだった。
「!」
門の中から黒髪を揺らしてリナリーが慌てたようにやって来た。
「あ!りなっち!」
「混乱させちゃってごめんね?」
先輩のリナリーはいつ見ても可愛い。
リナリーはの乱れた髪を梳いてくれた。
「彼は大丈夫だから中に入って」
「はーい!」
は手を挙げて上機嫌で門へ入ろうとすると鎖がつんのめる。
振り返ると神田がぎゅっと鎖を握っていた。
「ゆうゆう?」
リナリーとアレンが歩き出すが神田は動こうとしない。
「アイツには近づくな」
神田は前を歩くアレンを睨んでいる。
「どうして?」
何か感じ取ったのか警戒している。
「気に入らない」
神田の気に入る人は少ない。
例えば目の前を歩くリナリー。
彼女は古い付き合いらしく神田に気に入られてる。
しっかり者で優しくて人気者。
とは正反対だ。
リナリーと比べると自分は頼りない。
悲しくなる気持ちを紛らわせるために笑顔を作る。
「ゆうゆうに気に入られる人は少ないからね〜。というか彼がエクソシストになるなら新しい家族だね!仲良くしなきゃ!」
握り拳をつくって気合いを入れると神田が鎖を離して横を抜ける。
「そういうのが嫌いだ」
「あ!置いてかないで!」
慌てて追いかけると浮かない顔をしていた。
中に入るとリナリーがアレンに挨拶をしている。
それを黙って見ている神田。
二人が喋ってるのが気に食わないのかな…
(私になにか出来る?)
神田のローブをバッと捲りあげたらガシッと頭を鷲掴みされる。
「いやぁ、傷が背中にもあるのか確認したくて、うぁぁぁ」
ギリギリと鈍い音と共に若干痛い。
せめて気を紛らわせることしか出来ないから。