第3章 黒の教団
「あ、!」
アレンに名前を呼ばれて神田と共にピタッと固まる。
リナリーとの挨拶を終えたのかの前にやってくるアレンは優しい笑みを浮かべていた。
その笑みに絆されない人はいないんじゃないか…
「よろしく」
神田に頭を掴まれたままアレンを見ていると彼は右手を伸ばした。
ぼーっとアレンを見ていたはハッと我に返る。
「あ!握手!?いいよ!」
察したは元気に返事をして、その手を握ろうとしたら頭に痛みが走る。
神田が力を強めたのだ。
「いでででっ!!」
「呪われてる奴と握手なんかするかよ」
まるで自分の事のように睨みつける神田にアレンはピキっと止まった。
思考停止のアレンを無視する神田は彼の事をホントに嫌いらしい。
「いくぞ」
「うがぁ!」
悲痛の叫びが通じたのか最後にグッと力を入れてから解放されたが、今度は首根っこを掴まれる。
ズルズルと大人しく引きずられるはジンジンと後を引く痛みに涙目になりながらも稽古場へ連行されるのであった。
「ごめんね…任務から戻ったばかりで気が立ってるの」
神田のためにフォローを入れるリナリーだが、置いていかれたアレンはヒクヒクと口角が上がるほど怒っていた。
(初対面に対して呪われてるとか言わなくていいでしょう!)
内心の怒りを爆発させるほど彼は横暴ではなく、引きづられたを心配してリナリーに声をかける。
「… は大丈夫なんですか?」
少し膨れているアレンにリナリーは笑いかけた。
「二人はとっても仲がいいから大丈夫。それに心配するなら神田の方かな」
リナリーはハチャメチャなの面倒見ている神田を思い出してクスッと笑う。
「はじっとしてられないから」
「なんだかわかる気がします」
「溢れ出てるよね」
の話をするリナリーはご機嫌だった。
リナリーはが大好きだ。
いつも明るく真っ直ぐなところ。
欲望に忠実で肉まんが大好きなところも。
「を泣かせないでね」
リナリーはの涙を見たことはないが彼女が悲しまないように努力はしたかった。