第3章 黒の教団
人里から遠く離れた崖の上にそびえ立つ大きな城。
その城の所有者は黒の教団。
周りに人の気配はなく蝙蝠が慌ただしく飛んでいるだけ。
そんな城の先端に少女が1人。
は蝙蝠に餌付けしながら肉まんに食らいついた。
「んま〜」
蝙蝠と共に黙々と肉まんを食べる。
肉まんはの好物だった。
「外で食べる肉まんは別格だよね〜」
風が強く髪やコートを忙しなく動かしている。
《こいつアウトぉぉぉ!》
下の方から門番の悲痛な叫び声が聞こえて、肉まんを食べていた手を止める。
城中に警告が鳴り響いているということは悪魔だろう。
は肉まんを急いで口の中へ放り込むと空へ飛び出し急降下。
門の入口には白髪の青年が門にしがみついている。
の気配に上を見上げるアレンは少女が空から落ちてくるのに驚いた。
は金の鎖〈ゴールド・チェーン〉をアレンに向かって突き刺すと彼は後ろへ飛び退く。
鎖を戻し相手の様子を伺う。
「ま、待ってください!僕はエクソシストです!」
「うるさい!興味無い!」
ポカーンとしているアレンにはビシッと指さし仁王立ち。
口ではなんとでも言える。
悪魔の戯言など誰が信じるか。
は腰から伸びる鎖の他に、空中に鎖を増やす。
「ここでくたばれ!南無阿弥陀仏!!」
悪魔を串刺にするべく鎖の本数を増やし攻撃する。
アレンは左手のイノセンスを発動すると同時に鎖を薙ぎ払った。
「話を聞いてください!つっ…これはっ!?」
鎖を弾いたと思ったのにイノセンスに貫通している鎖を見てアレンは目を丸くする。
は繋がった鎖を持ち上げて引っ張るとアレンは体制を崩す。
「私のゴールド・チェーンに触れたが最後。お前の魂頂くよ!」
サーっと顔を真っ青にしたアレンは全力で首を左右に降った。
「だから僕はエクソシストですって!クロス師匠から紹介状が送られているはずです!」
は紹介状という言葉に固まった。
「なんて?」
「し、紹介状…コムイって人宛に」
コムイとは黒の教団、室長のコムイ・リーの事だろう。
外部の人間が情報を知るわけもない。