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神田ユウに愛されている少女

第4章 土翁と空夜のアリア



「肉まん、たくわん、回鍋肉ー」


すっかり目が冴えたはズラっと並ぶ料理の前で胸を弾ませていた。


「相変わらずお気楽な頭だな」


「ゆうゆう、また蕎麦〜?ちゃんと食べないと背伸びないよ?」


「お前に言われたくねぇ」


寝起きの悪いはフラフラとうたた寝していたのが嘘のように目を輝かせている。


相変わらず神田はジェリーに蕎麦を頼んでいた。


いつも同じもので飽きないのだろうか…


一つのものをずっと好きなのは素晴らしいが、飽きないのが不思議でならない。


(それに蕎麦だけだと栄養が偏っちゃう)


「蕎麦飽きない?」


「飽きるわけねぇだろ」


即答する神田は先に蕎麦を食べ始める。


「たまには他のもの頼んだら〜?」


「蕎麦でいい」


キッパリ断る神田の蕎麦と肉まん見比べていたはちょんちょんと彼の二の腕を指で突っつく。


何事かと視線を向けた神田に、自信満々に言う。


「仕方なし、この肉まんをさずけよう」


誰も頼んでいないのに蕎麦の上に肉まんを乗せる。


それは別料理に見えた。


「美味しそう」と目を輝かせるだが神田はたまったもんじゃない。


「ふざけんな」


「この肉まんは死闘の末選ばれた特別な肉まんなんだよ?ご利益あるよ、魔王だって倒したんだから」


「死闘って、肉まんがなにと戦ったんだよ」


「同胞の肉まん達!この子は選ばれし肉まんなのだよ!」


神田のために選びました!


ジェリーの肉まんは具が少し違うがどれも美味しい。


1番のお気に入りを神田にあげたは上機嫌。


「意味わからん」


ツンツンとハリネズミのような神田だが文句を言いながらも肉まんにかぶりついた。


神田の一口はリズよりも大きくて豪快。


「わぁ!男らしい!かっこいい!!」


「…黙れ」


キラキラした目で神田を見つめると、彼の手が頭を掴みグイッと料理の方へ向けられた。


「私も真似する!」


ガブッと食らいついてリスの様に頬を膨らませ神田と同じ量を口へ入れようと奮闘する。


馬鹿馬鹿しいと呆れながらを見る神田は少しだけ口角が上がっていた。


「いい気なもんだな」


真後ろから聞こえた冷たい声には動きを止める。
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