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神田ユウに愛されている少女

第4章 土翁と空夜のアリア



後ろに座っていたのはファインダーの男性。


又の名を探索部隊と言い、世界中の情報収集を担当している。


ファインダーはエクソシストと違いイノセンスを持たない人間だ。


「こちとら死人が出てるって言うのに」


冷たい声にドキッと心臓が音を鳴らす。


男の言葉は正しいく毎日死人が出ている。


の性格から悪口を言われるのは慣れているが、気持ちいい事ではない。


噛むことを忘れて頬に肉まんを詰めたまま硬直。


沢山のファインダーが居るところでは大人しくしろとリーバーに毎回言われているのにはすぐ忘れてしまう。


物が飲み込めないまま動揺する。


口の中の物が異物に思えて吐き出してしまいたい。


そんな事しても死んだ者が帰ってくる訳でもないく、料理長のジェリーが悲しむだけだ。


両手で口を抑える。


(ああ、嫌だ)


ポンっと神田の手が頭に乗った。


昨日とは違い優しく撫でられて驚いて神田を見上げる。


目が合うと今度はの結ばれていないサイドの髪をクルクルと指でいじりはじめた。


の桃色の髪は、神田の白くて長い指からスルッと逃げるが彼はまたクルッと捕まえている。


何度も繰り返される行動に、忘れていた頬の肉まんを思わずゴクッと飲んこんだ。


喉に詰まり息が出来なくなる。


ドンドンと胸を叩くと笑いをこらえている神田にコップを渡される。


「ゲボっ!?ぶっ!!」


中身は水ではなく、熱いお茶っだった。


吹き出すに堪えられなくなった神田が笑った。


慌てて自分のコップを手に取って水を一気に煽る。


「ゲホゲホ!」


慌てているを見て「ククク」と笑う神田に血の気が引く。


「あ、悪魔だ…さっきの肉まんには悪魔が住み着いていて、ゆうゆうを乗っ取ったんだ」


真っ青な顔で言うとさらに神田は笑った。


「ちっ、ここは小学校かよ。ガキの癖にイノセンスがあるってだけで贔屓されやがって」


後ろから聞こえた舌打ちと言葉に神田の笑顔がスっと消えた。


静かにしないと…周りをイラつかせるのは自分なのだから。


は口を閉じて俯く。


「うっせえな。飯が不味くなるだろ」


神田の低い声には彼を見上げると目が合った。
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