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神田ユウに愛されている少女

第4章 土翁と空夜のアリア





は室内より自然の中が大好きだった。


一人ぼっちの部屋だと落ち着かない。


もちろん一人部屋のは毎夜寝られないのだ。


だから夜になると静まり返った森の中で散歩をして、気ままに葉っぱの上で横になる。


梟や虫の鳴き声にゆっくりと目を閉じるといつの間にか寝てしまうのだ。


「くぅー…ん」


ふかふかする地面に敷いた葉っぱに鼻をくすぐられて目を覚ます。


ゆっくりと体を起こすと肩から何かがパサっと地面に落ちた。


意識がはっきりしない頭でそれを掴み持ち上げるとクリーム色のカーディガンだった。


刀が風を斬る音に目を向けると神田が目隠しをして落下する葉を何枚も真っ二つに斬っていた。


「わー、お見事〜」


まだ寝ぼけているは勝手に大きなカーディガンに袖を通しておぼつかない足で神田の元へ向かう。


足音を聞いて目隠しを外した彼は不満そうな顔をしていた。


「外に出るなら毛布ぐらい持って行け」


神田のカーディガンはの薄いシャツを隠して膝下まで覆い温もりをくれる。


「大丈夫だよ!私風邪ひいたことない」


安心させるようにグッと親指を立てる。


馬鹿は風邪をひかない。


黒の教団に来てから寝込んだことなど一度もないのだ。


夜が明けて白む森からは城がよく見えた。


「お腹減ったね〜」


「鍛錬は終わりだ。部屋に戻る」


「私も部屋戻る!」


汗を流すために部屋に戻る神田の大きな背中を追う。


まだ時間が早く誰もいない。


神田の部屋は離れているので途中で別れて急いで軽くシャワーを浴びる。


髪を結び、シャツを着てコートを羽織る。


神田のカーディガンを両手で持って急いで彼の部屋へ向かうとまだ部屋にいた。


「いつもありがとう!」


毛布を持っていかないのは神田が何かを貸してくれるのが嬉しいからだ。


リナリーより特別だと思ってしまう。


こんな事でしか優越感を感じられないの性格は歪んでいる。


家族に嫉妬し嘘をつく。


それでも人を傷つけない嘘は許して欲しい。


「食堂行こ!今日は何にしようかな〜」


パラパラと人が増えていくがと神田に近づく人はいない。


しかし二人は他人など気にしなかった。
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