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ぼんおら

第2章 添い寝の秘密


「な、んで……」
 冷静を装うとしたが、途切れ途切れになる僕の言葉。ぼんさんはなんてことはないとでも言うかのようにへらりと笑って、こう答えた。
「夜な夜なおらふくんが俺の部屋に来るのよ。なんでも寝られないからって」
「……え?」
 またもや僕の予想外な回答が聞こえてぼんさんを見やる。ぼんさんは、彼特有の困った笑みを浮かべながらこう言った。
「だからおらふくんが寝るまで添い寝してあげるのよ。で、寝たら俺はソファで寝る訳」
「いやいやいや、なんで添い寝してるんですか」
 なんの疑問も持たずに? もうそういう関係だったってこと?
「なんでって……おらふくん、本当に困ってたみたいだからさ」
 きょとんとした顔で返されると、まるで僕が間違っているみたいだ。……え? 本当に僕が間違ってるの?
「いやぁ、でもかわいいもんだよね〜。俺に抱きついて寝るとよく眠れるんだって」
「抱きついてるんですか?!」
「ん? うん、そうだけど?」
 びっくり発言ばかり飛んできて僕の頭は話についていけなくなりそうだった。
「ってことはぼんさん、もしかして……」
「ん……あれ? ドズルさん、ぼんさんの部屋で何してるんです?」
 大きな声で喋っていただろうか。あんなにぐっすり寝ていたはずのおらふくんが、いつの間にか体を起こしていた。
「おはよう、おらふくん」
「おはようございます、ぼんさん……ふわぁ……」
 ぼんさんがいつも通り挨拶をすれば、おらふくんも挨拶を返して欠伸をする。それからのそのそとベットを下り、ぼんさん、ありがとうございましたと一礼をして部屋を後にした。
「まぁ、そういうことよ」ぼんさんはベットへ腰を下ろした。「二度寝するから出てよね、おやすみ」
「あ、ぼんさん、まだ話が──」
「……ん?」
 ぼんさんは布団に潜って早々に微睡んでいた。途中で起こしてもぼんさんなら怒らなそうだが、寝不足にさせては脳にもよくないだろう。僕はこの日は、ぼんさんに問い詰めることはやめて部屋を出ることにした。
「おやすみなさい、ぼんさん」
「はーい」
 僕はぼんさんの部屋の扉を静かに閉めて考えた。つまり一体、どういうことだろうか。
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