第1章 無自覚な恋愛
その後、僕はどうにかMENと二人だけになれるタイミングを作って外に出た。おらふくんは夜中にはもう寝ているのだが、ぼんさんがリビングでだらけているから外で密会することになったのだ。
おんりーは何かしら気づいていそうだったが何も言わずに「もう寝ます」と自室に上がって行った。僕たちは家の裏へ回り込み、早速MENに聞いてみた。
「で、どうだった? おらふくんの反応は」
「それが、色々聞いてみたんですが、どーもそういう関係じゃないみたいなんすよね〜」
「片思いでもなく?」
「みたいっすね」
もし、おらふくんの片思いだとしたら、とも考えぼんさんに話すのをためらったが、そうでもないのなら話が変わってくる。僕は顎に手を当て、一つの結論を出した。
「これは二人とも……無自覚な両片思いだね」
「そうかもっすね」
この状況、どうしたものか。ここは僕たちが二人をくっつけるべきだろうか、と呟けば、MENは軽く笑って出来ますかね、と声をひそめる。
「だけどまたああやって目の前でイチャつかれると、ヤバくないかな」
「まぁ〜……うっかりってのはありそうっすけど」
そのうっかりをうっかり見てしまった時がマズイのだ。僕は対策を考えたかったが、やはり何も思いつかない。そうこうしている内に、夜はどんどん深まるばかりだ。
「……とりあえず、今日は解散しようか」
「はい」
こうして、僕とMENのモヤモヤは広がったが、結局はなんの進展もなかったとさ。
おしまい?