第1章 無自覚な恋愛
「ぼんさん、やっと涼しくなりますね」
と話を切り出してぼんさんに近づけば、ぼんさんはまだ寝っ転がったまま、そうだなと返事をする。
「これもおんりーのおかげだね」
「ほんとほんと、おんりーチャンのおかげ」
そう会話をしている間に、おんりーは地下に潜って氷ブロックを敷き詰めに行った。MENはおらふくんを連れて二階に上がったし、聞き出すのは今しかないと思った。
「それよりぼんさん、最近アレじゃないです?」
「アレ? 何が?」
僕が改まった口調で話し始めたからか、ぼんさんは体を起こしてその場に座った。僕は慎重に言葉を選びながら発言をした。
「おらふくんですよ」
「おらふくんが? 何なに、なんかあったの?」
「何かあったのはぼんさんの方でしょう?」
「え、俺?」
サングラス越しからでもよく分かる程ぼんさんは驚いた顔をした。本当に何もないのか、はたまた僕が何について聞き出そうとしているのか勘づいていないだけか。
僕は核心に近づくことにした。