第3章 ドキドキ温泉?
そうしてMENの温泉が完成した日。
MENの温泉は、僕が見た時より情報量が増えていて、前に聞いていた時より色んなものが出来ていた。洗い場だけでなく、葉っぱなどの装飾、そして少しだけトウヒのトラップドアで仕切りも追加されていた。フェンスの使い方も一つ一つ巧妙だ。
僕は早速、拠点に戻って温泉の完成をみんなに伝えに行こうとした。
まず最初にキッチンに立っていたおんりーが、あ、見ましたと答え、奥のリビングに向かうと、またぼんおらがテーブルを前にイチャイチャしていたのだ。
「ちょっとぼんさん、やめて下さいよ〜」
「え? ダメだった?」
「いや、まぁいいですけど……」
隣同士で何かやっているみたいだ。僕はあの二人の空間に割り込めというのだろうか。
「ねぇ、おんりー……」
僕が声を掛けるかどうしようかと立ち尽くしていたところ、キッチンにいるおんりーを呼び掛けて振り向いたおらふくんが僕に気付いた。相変わらず人懐っこそうな笑顔で、ドズルさんもいたんですねと話題の中に入れてくれた。
「聞いて下さいよ、ドズルさん〜、ぼんさんが……」
と話すおらふくんの話によると、ぼんおらでアイテムの交換をやっていたらしいが、おらふくんが出したものより低価値なものをぼんさんが出すという意地悪をしてくる、とのことだった。
「二人ともいつもイチャイチャしてるね」
なんて僕が半分冗談で言っても二人はケラケラと笑う。二人のその距離感は、彼らにとっては当然なのだろうか。
「それより、MENが温泉作ったんだって。せっかくだから、一緒に入りに行こうよ」
とドズルさんが言うと、おらふくんはいいですよと快諾してくれたが、外出すら面倒なぼんさんは途端に顔をしかめた。
「俺はいいよ、後で入るから」
すると、そこでおらふくんがこう言うのだ。
「みんなせっかく一緒にいるんですから入りましょうよ、ぼんさん」それからおらふくんはぼんさんの手首を引いた。「僕、ぼんさんの背中流しますよ」
それがおらふくんの良さとも言えるのか、やはりぼんさんのことを好いているからそう言うのか、にこやかな表情でそう言った。ぼんさんはまたへらりと笑った。
「何よ、その言い方。俺だって体くらい自分で洗えるし」
どういうところを気にしているのか、ぼんさんはそう言いながらも立ち上がった。