第3章 ドキドキ温泉?
なんだかんだ僕たちに合わせてくれるぼんさんは、一緒に温泉に入ってくれた。
「いやぁ、温泉はやっぱいいですよね〜」
と僕が言うと、合わせるようにそうですね、と仲間がそれぞれ頷いた。
「拠点から近いし、すぐ入れるしな」
とぼんさんが言うと、MENはケラケラと笑った。
「じゃあ今度遠くに温泉引っ越しさせときますね」
そう言いながら。
なんでよ、と騒ぐぼんMENの横で、おらふくんはおんりーに声を掛けた。
「おんりー、大丈夫? そろそろ上がろうか?」
「なんか、頭クラクラしてきちゃったよ……」
さっきから静かだなと思ったら、おんりーはのぼせていたらしい。それは大変や、とおらふくんがおんりーを抱えて拠点に連れて行くと、じゃあ俺もそろそろ上がるかとぼんさんも温泉を出た。
「もう上がるんですか、ぼんさん」
「アナタたちと違うからね」
僕の問いかけにぼんさんがそう答え、洗い場へと向かう。どうやらこれから髪と体を洗いに行くらしい。
「みんな上がるの早いなぁ」
と僕が呟くと、隣のMENがカラリと笑った。
「カラスの行水っすね」
そんな会話を僕とMENがしている間に、おらふくんが拠点から戻ってきた。おんりーは拠点で休むことにしたみたいだ。
でも、おらふくんは? と僕がなんとなく彼を目で追うと、洗い場で髪の毛を洗い終えたぼんさんの元に行くから僕は慌てて目を逸らした。
「まさかまた、二人あんなところでイチャイチャし始めるんじゃ」
「はははっ、そうなんすかね」
とはいえ、見てはいけないという心理は、ついつい見てしまうものである。それに洗い場は温泉から遠くはないので、会話も丸聞こえだ。
「ぼんさん、体洗いますよ」
「まだ覚えてたの、その話」
「洗いますって約束したじゃないですか〜」
「そっかそっか、ありがと〜」
結局ぼんさんが折れることになったらしく、甘んじておらふくんに背中を洗ってもらっていた。次には俺もやるよとぼんさんがおらふくんの背中を洗い出し、それはどう見ても恋人たちがやるソレではなく、親子のように見えた。
「僕、考え過ぎだったかも」
「何がです?」
「二人はあの距離感が普通なんだよ」
「あ〜、なるほど」
みんなそれぞれに距離感がある。MENに僕の内心が伝わったのかは分からないが、これ以上聞いてくることもなかったので、僕も言葉にはしなかった。