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さよなら桃源郷(銀魂:銀時夢)

第7章 外の面(とのも)


「何でドイツもコイツも俺に荷物持ちさせてんですか、コノヤロー。」

 銀時の言い分も最もである。見知らぬ顔は菊のみのはずで、顔馴染みである商店街の人々は新八や神楽、そして揚羽も銀時の連れである事を知っているはずだ。サービス自体はとてもありがたいが、重い食材を集中攻撃で銀時に持たせる理由が解せなかった。

 菊は店の人々にとって「蒲柳の質である揚羽の姐」で通っているため、重たい物を持たせる事はありえない。揚羽も幼い為、荷物持ちとして使えないのは明らかだ。だが腕力で言えば神楽も負けず劣らずの怪力である訳で、新八も新八で男と言うだけあって重い物も運べる。他にも渡す相手は二人いるにも関わらず、既に一杯一杯な銀時に食べ物は集まって行った。しかも「直接渡された荷物は自分で持て」とでも言うように、新八も神楽も手を貸すつもりもないらしい。銀時は後で二人をシバく事を心に誓った。

 そんな胸中を他の皆が知る由もなく、万事屋のメンバーは最後の店へと移動していく。

「揚羽ちゃん! よく来てくれたね。今日も買い物かい?」

 250年も続く老舗「満侍勇屋(まんじゅうや)」を営む小太りな女性が揚羽を明るく迎えた。前々から銀時がふらりと訪れていた饅頭屋だが、ここ最近は揚羽の人なつこっさにより、更に万事屋と親密になっている。おまけの饅頭の数が増え、銀時としては何よりも喜ばしい。女性と揚羽の会話が弾むたびに「いいぞ、もっとおだてろ」と、届いているのか届いていないのか分からない念を送っている。今もまさにそうだ。「もっと饅頭が欲しい」と言う下心満載で揚羽を見守る。

「うん! 今日はお姐さんも来てるから皆サービスしてくれたんだ。ほら、こんなにいっぱい!」

「あらら、大荷物じゃないの! そうだ、ちょうど良い物があるんだよ。ちょっと待ってなさいな。」

 揚羽は銀時を指差して大量の荷物を女性に見せた。そうすれば彼女は銀時の存在にたった今気づいたかのように驚く。大量の食料を確認すれば、女性は店の奥に入って夫に声をかけた。
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