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さよなら桃源郷(銀魂:銀時夢)

第7章 外の面(とのも)


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 かぶき町の繁華街からそう遠くない場所に、万事屋行き着けの商店街がある。値段も常に安く、商売人達も明るい事から客足が途絶える事はなかった。人でごった返している所は、銀時達が住まうかぶき町の繁華街にそっくりだ。違いと言えば売っているのは娯楽ではなく食材と言う点のみ。賑やかな街に圧倒されながらも、菊は揚羽に手を引っ張られながら目的の店へ向かう。

 そして何件か回った店先で起こる揚羽と店員の会話は、なんと言うか、面白いほどワンパターンであった。



 一番商店街の入り口から近い魚屋では、

「あらぁ、揚羽ちゃんじゃないの! まあまあ、今日もお使いかい? 偉いねぇ。ほら、いつもの魚だよ。おや? そちらさんは誰だい?」

「ありがと、おばちゃん! この人は私のお姐さんよ! やっと外で歩けるようになったの!」

「あらま。そりゃあ、めでたいじゃないのかい! ほら、お祝いにこれも持って行きな! 銀さん、重いから持っておあげよ。」

といつもの秋刀魚や鮭に加え、大量のシジミと旬のタコを持たされた。



 次に、若い女子に目がないが、サービス精神だけは豊満だと評判の肉屋の親父さんから、

「おお、万事屋のチビじゃねーか。元気してっか。ん? 見ねー顔だな。」

「私のお姐さん! 今日は初めてお外に来たの!」

「そいつぁ良かったじゃねーか! べっぴんな姐さんに会わせてくれた礼だ。こいつも持って帰んな!」

「わーい! 親父さん、ありがとう!」

「良いって事よ! ほれ銀さん、持ってけ。」

といつもの安い豚肉に加え、滅多に食卓に出せない牛肉を3キロほど渡された。



 肉屋の近くにある関西出身の店主が営んでいる八百屋では、

「万事屋の揚羽ちゃんやないの。いつもの野菜、こっちの箱に取っといてあるでぇ。ところでそこのお嬢はんは、揚羽ちゃんの知り合いなん?」

「私のお姐さんよ!」

「ああ! ようやっと歩けるようになったんやね! めでたいやないの! ほな、今日は歩き回った姐さんに美味しい野菜、いっぱい食べさせなあかんね。銀さん、はいこれ。」

と只でさえ大荷物を抱えた銀時に追い打ちをかけるように10キロはあるだろう色とりどりの野菜が入った箱を彼の腕に積み上げた。
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