第6章 子守唄
そうして菊は違う視点でドラマを鑑賞していた。揚羽と神楽も口で言うほど怖がってはいなかったのであろう。騒いでいた割には元気に床についたし、揚羽が本気で怯える姿はもっと違う。しかし、銀時は様子が可笑しかった。明らかに一人になる事に恐怖を抱いている。可愛い、と言っては失礼なのだろうが、今まで菊の前では「出来る男」であり続けた銀時が弱る様は心くすぐるものがあった。同じ人間なのだと、妙な安心感も得る事が出来た。
銀時を甘えさせるのも良いかもしれない。流れで喋っていたとは言え、銀時が手を繋ぎたいほど怖がっているのだ。恩返しとまでは行かないが、少しでも彼の恐怖心を取り除けるのならと、菊は銀時と手を繋ぐ事に了承する。
未だに固まっている銀時を余所に、菊は右手で銀時の左手を握った。