第6章 子守唄
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銀時は軽い冗談のつもりで発言した事を後悔した。菊は今、銀時の指と己の指を絡ませながら眠っている。しかも腕に寄り添うように寝ており、銀時の二の腕を枕代わりにしていた。身動きがとれない。否、それは些細な問題なのかもしれない。一番の問題は菊の体が腕全体に感じる事だ。まだまだ貧相と呼べるような体だが、徐々に肉を付け始めている菊の胸が思いっきり当たっている。それに加え、菊からふわっとした良い匂いもしてくる。同じシャンプーを使っているはずだが、女が使うとこうも甘い匂いに変わるのだろうか。色々と刺激が強すぎてヤバい。
恐怖とは違うドキドキで胸が高鳴っているのが分かる。別の意味で眠れなくなってきた銀時は、夜が長くなるという嫌な予感がした。そして当たって欲しくない予感ほど当たるものであり、銀時は一睡する事なく、翌日に赤い目を誤摩化すのに必死になるのだが、それはまた別のお話しであった。