第6章 子守唄
「……自分が怖くて一人で寝たくないからって、大人げないわよ? 私はまだ子供だから良いの! 銀兄さんは『大人』なんだから一人で寝てよ。」
「そうネ、マダオは一人で寝ろヨ。」
「ばっ、違ぇーよ! 大の男が、こんなモンにビ、ビビる訳ねーだろ。これはアレだ。怖いとかそーいうんじゃないから。ただコイツと俺が同じ部屋で寝るのは習慣になってるしー? 外国でも大人と子供は別の部屋で寝るのが普通だしー? お前らが立派な大人になる為に俺は心を鬼にして言ってんだよ。」
つらつらと銀時は言い訳を並べ始めた。菊の前では割と格好つけているが、今の彼には余裕がないのか、その姿は情けない以外の何者でもなかった。白い目で揚羽と神楽は銀時を見た。ずらずらと御託を並べる銀時を無視して、揚羽は静かな菊に甘えた声で話しかける。
「ねぇねぇ、姐さん。今日は一人で寝るの怖いよ。」
「駄目だからな! コイツは俺と同じ部屋で寝るんだからな!」
「一緒に寝なくても良いから、前みたいに眠るまで子守唄歌って? ねぇ、それ位なら良いでしょ。」
「……子守唄?」
後ろで煩くしていた銀時はその単語を耳にして、意外だ、とでも言うような表情を浮かべて菊を見る。そんな銀時の眼差しを余所に、菊は揚羽の頭を撫でた。
「……分かったわ。でも今日だけよ?」