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さよなら桃源郷(銀魂:銀時夢)

第6章 子守唄


 「死角」に居た頃、物心のついた揚羽と共に寝る事を菊は決して許さなかった。それもそのはずだ。ふらりと立ち寄る悪漢達は、労働時間外の遊女が寝てようが寝てまいが構わず夜這いを仕掛ける時がある。そんな時、その場に揚羽が居合わせる訳にはいかない。ましてや、時に幼児趣味の輩が現れる場所だ。尚更揚羽を危険な目に遭わせる訳にはいかなかった。故に揚羽は誰も手を出さないボロ倉庫で就寝する羽目になる。

 そんな生活から解放された今、揚羽は菊と一緒に添い寝がしたかったのだ。最初は火傷で重症な菊に気を使い、部屋を分けていた。もしもの時に銀時がすぐ対応できるよう、菊は和室で寝かされる。揚羽は少しでも菊と距離を縮める為に、和室に近い事務所のソファで眠りについた。だが、菊の容態が良くなった今は、ただの習慣で別室で寝ている。もう我が侭を言っても良い頃合いだろう。揚羽はチャンスを逃すものかと菊にせがむ。しかし、それに反応したのは銀時だった。

「馬鹿言え、ガキども! こ、こんなくだらないドラマはなぁ、寝たらすぐ忘れらぁ。あれだ、オメーらも大人になれ。怖い番組見ても一人で眠れるようになりなさい! だからコイツと寝るのは駄目!」

 時々裏声になりながらも、銀時は本気で揚羽の案を却下してきた。揚羽は和室で菊と同じ布団で眠る事を提案したつもりだったが、銀時は菊と揚羽が一緒に寝るイコール事務所のソファで雑魚寝イコール銀時は和室で独ぼっち、と勘違いしているらしい。どうやら番組の恐怖で頭が回っていないようだ。

 そんな銀時を呆れた表情で見つめた揚羽は、わざと銀時を困らせるように発言する。
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