第5章 貴方に教わる命の繋ぎ方
「しばらくは今まで道理の当番制。俺か新八が料理作る時にでも見習えや。」
「神楽ちゃんの時は?」
「オメー、あれが料理って呼べる代物だと思ってんのか。米に卵一つ乗っけただけだぞ?」
銀時の脳裏にはご飯一杯のお椀と卵、そして醤油が並べられた粗末な食卓風景が過った。料理は料理かもしれないが、所謂「手抜き料理」だ。おかずが添えられるのならばまだしも、神楽の場合ガチで炭水化物にタンパク質をぶっかけただけの代物である。他に野菜も何も無い食事ははっきり言って物足りないし、栄養のバランスが悪すぎる。それに何杯もおかわり出来る神楽と違って、銀時も新八も二杯食べ終わる頃には味に飽きている。飽きてはいるが、腹七部も満たされていないのだから辛い。元々小食な菊と揚羽は満足しているようだが、男共には苦しい食事だった。
食事当番を守る神楽は偉いと思っているし、いつも元気よくご飯を作ろうとする姿勢はありがたい。だが、あまり文句を言いすぎれば鉄拳が飛んでくるのは目に見えている。故に、強くは言いだしていないが、出来れば菊にはバランスの良い食事の作り方を覚えて欲しい。
「でも美味しかったわ。それに卵なんて高価な物、あんな風に贅沢した食べ方したの初めて。」
「あー、そういえばアンタ、戦時中までの物価価値しか知らねーんだったな。」